語録 128
キリストの場合、非常に好感をいだかせるのは、キリスト自身も弟子たちも、あらゆるあわただしい布教ぶりから完全に免れていたことであり、また、すべての「はなばなしい登場」、「ひとに知られること」、「伝道旅行」、「大がかりな活動」、その他こうした魂を毒する言葉でいい表される一切のものをことごとく拒絶したことである。しかもキリストの示された業は片隅にかくされたままにはならず、他のいかなる事柄にもまして世界中を満たすことになった。これは神の配慮によるのである―みずからそのために配慮することのない人々に代って。(『幸福論Ⅲ』258頁)