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語録 178

 人生のあらゆる英智の達しうる最後の段階は、神とともにあるか、神から離れているかが、人生における唯一の大切な問題だということを、完全に洞察する境地である。これによって善と悪、よき報いと罰、時と永遠など、普通ではほとんど解決できない諸問題が正しく解明される。理論的認識では、何びともそれ以上に到達することはできない。しかし、実際には、われわれがこの地上にあるかぎり、神の傍らにあることは、いつも同じように続く状態ではなくて、むしろそれは陽の光のように、雲だの、少なくとも霧などにじゃまにされるたびに、それに応じて明るくなったり、暗くなったりしかねない。ただし、あくまでも確固不動の真理は、すなわちこの霊の太陽は実在しており、もし太陽とわれわれとの間にじゃまするものがなければ、それは常に輝いて見えること、また、このじゃまものとは神の意志にそむくわれわれ自身の意志以外のものではありえないこと、である。そしてこれが、従来の神学によって「罪」と呼ばれてきたものである。この根本的真理はまことになんと単純なものであろう。それなのに、この真理に達するのはなんと遅いことであろう。しかもそれは、学識が足りないなどのためではなく、それどころか、あまりにも多すぎるためなのである。(『幸福論Ⅲ』355頁)
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