語録 24
本当に神を信じる人びとは、がんらい普通の人とは異なった種類の人間であり、ときには世間にまじってみずから異様に感じることがある。この本当の信仰は世間通常の信仰とはちがったものであって、「山を移す」(Ⅰコリ13:2)ばかりでなく、なお一層困難なことだが、人間の心や思想をも移すからである。むろん、このような信仰は、神を愛する魂へ神が積極的に接近することなしには生じえない。この神の接近は、全くたぐいない奇跡であって、これにくらべれば、そこから生ずるすべての異常な働きや精神力は、ただあたりまえの、ほとんど自然なことのようにさえ思われる。(『眠られぬ夜のためにⅠ』170頁)